BUHIXの日記

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【感想その3】遠藤保仁がいればチームの勝ち点は117%になる



この記事は、以下の本のレビューの続きです。興味深いと思ったことを箇条書き風に記しておきます。


「117%」の意味

※統計というよりは国語の話なので、興味がない方は飛ばしてください。
前々回の記事に「遠藤は勝ち点への貢献度が平均的な選手より17%高い」と書きました。分かりやすいと思ってそういう表現にしたのですが、よく考えてみたら変かもしれません。

「遠藤の貢献度が17%高い」という言い方だと、遠藤1人をチームに加えても勝ち点が117%にはなりませんよね。「全員遠藤」のチームを作って、やっと117%になるはずです。
(関係ないけど、野球のXR27みたいに「全員同じ選手と仮定した時にどうなるか」という指標がサッカーにもあったら面白いですね。)



実は、本書中で実際に行われているのは「オッズ計算」です。ロジスティック回帰分析という手法を用いて、その選手がいれば勝率オッズが何倍になるのかドロー率オッズが何倍になるのかを求めています。
「遠藤がいれば勝ち点が117%になる」という数字も、勝率オッズとドロー率オッズの増加から間接的に導かれたものです。


チャンスメイクとセーブ率は最も勝ち点を増やすはずだが……

上でオッズ計算の話が出ましたが、勝率オッズやドロー率オッズを増やすのはどんなタイプの選手なのでしょうか。

著者の分析によると、勝率オッズを高くするのは「チャンスメイクが得意な選手」です。その筆頭が遠藤というわけですね。
ドロー率オッズを高くするのはやはりチャンスメイクが得意な選手、それから「セーブ率の高いキーパー」です。
つまり優秀なチャンスメイカーとセーブ率の高いキーパーは、他のタイプの選手よりも効率的にチームの勝ち点を増やしてくれる、と考えられるわけです。
もちろん色々なタイプの選手がいなければサッカーは成り立ちませんが、少なくともJリーグにおいては上記の2タイプを優先的に補強した方がいいのかもしれません。



はいストップ!
岐阜サポはそこでストップ!
「みんなでチャンスメイクしまくってビクトルがセーブしまくったのに勝ち点が取れない」とか考えるのはストップ!



いや、しかし「岐阜は限られた資金でチャンスメイカーとセーブ率の高いキーパーを獲れた。弱小チームの強化方針としては正しい」とも言えるのでしょうか? はてさて。

ゴールキーパーは得点に貢献しない

さて、次の話題。見出しの通りです。GKが関係するのはチームの「失点」であって、「得点」ではありません。
当たり前と言えば当たり前のことなのでしょうが、個人的にはかなり衝撃的な記述と思えました。GKがいくらビルドアップに参加しようが、ロングフィードを何本成功させようが、「統計学的に意味がある」というレベルで得点や勝ち点を増やすわけではないのです。
GKの指標の中ではっきりと勝ち点に関係するのは「セーブ率」だけです。少なくとも2011年のJ1ではそうでした。今後もっと足元の技術の高いキーパーが増えれば、分析結果も変わってくるでしょう。



ちなみに西川と藤ヶ谷は特にセーブ率が低く、貢献度がマイナスであった(チームの勝ち点を減らしていた)可能性が示唆されています。藤ヶ谷がいたガンバは次の年に降格してます。

センターフォワードは「2チームに1人」しかいない

著者がクラスター分析を行った結果、「CFクラスター」に属する選手は9人しかいませんでした。J1は18チームですから「本物のCFは2チームに1人しかいない」という計算になります。これもかなり衝撃的な結果です。
さらに外国人を除いてみると、CFクラスターに分類されたのは赤嶺真吾田代有三前田遼一李忠成だけでした。やはり日本ではCFをやれる選手が希少なんですね。

その他にも、広島にはCBクラスターの選手がいなかった(パスが多すぎてみんなDHクラスターに入ってしまう。流石はミシャサッカー)とか、清水にはDHクラスターの選手がいなかった(中盤がスカスカだったということ?)とか、面白い結果が出ています。

ただ、本書の分析法だとサイドプレーヤーの評価が低くなりすぎるかもしれません。献身性を評価する指標が必要だと思います。駒野のように、サイドプレーヤーなのになぜか司令塔クラスターに分類されている化け物もいますが。

3プレー以内にシュートを撃つと決定率が下がる

2011年のJ1では「ボールを奪ってから3プレー以内に撃ったシュートは、決定率が低くなる」という傾向が見られました。
ではカウンターが有効ではないのかというと、そうとも言えません。シュートに至るまでのプレー数が4〜6だった場合は、他の場合に比べて決定率が高くなります。

プレー数 1〜3 4〜6 7〜9 9〜
決定率 9.2% 15.1% 11.8% 12.2%



なぜ3プレー以内にシュートを撃ったら決定率が下がるのでしょうか。
おそらく、1人でカウンターを完結させられるようなFWが少ないのでしょう。上で触れた「CFの少なさ」も関係していると思います。カウンターの局面でも2列目の選手との連携が必要なため、プレー数が増えているのではないでしょうか。


ミドルパスは得点や勝ち点を下げる?

出し手の位置や受け手のタッチ数などの条件が同じだった場合、ミドルパス ショートパスに比べてわずかに得点や勝ち点を下げるそうです。

なぜそうなったのかは分かりませんし、「ミドル」「ショート」というのが具体的に何mのパスなのかも分かりませんが、面白い結果だと思います。やはり、無理して遠くにパスを出すよりは確実にショートパスを繋いでいく方がいい、ということなのでしょうか。
大木監督は経験からそれをよく知っているのかもしれません。



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