BUHIXの日記

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遠藤保仁がいればチームの勝ち点は117%になる、あなたがいれば129%になる



この記事は以下の本のレビューです。


こんな人に読んでほしい

内容は「Jリーグを題材にして統計学の使い方を実演してみた」という感じです。サッカーと統計の両方に興味がある方には、大変お勧めです。
「主成分分析」「クラスター分析」「回帰分析」等の言葉を大学の教養課程でかじったけど使い方が分からない、という方は是非とも読んでみてください。そうか、こうやって使うものだったのか〜と感動できると思います。

言葉は覚えてるけど意味は忘れちゃったよ、という方でも大丈夫です。何となく覚えてさえいれば読み進めることができます。私も「主成分の抽出ってどうやるんだっけ?」とか「p値ってどう出すんだっけ?」とか、けっこう基本的なところを忘れています(ぉぃ)。それでも著者が何を言いたいかは分かったし、本書の内容は充分に楽しめました。

こんな人には向かないかも?

上記の通り、この本の内容は「統計処理実演ショー」のようなものです。細かい言葉の定義や数式等はあまり説明してくれません。本格的に統計(というか統計)を学びたいという方は、教科書や入門書に当たりましょう。

また、サッカーの戦術を知りたいという方にも向かないと思います。この本はJリーグにはどんなタイプの選手がいるのか」「得点や勝ち点に貢献したのは誰か」を統計的に分析したものです。ポジションとかフォーメーションとか、そういう話は一切ありません。それらを学びたければ別の本に当たりましょう。

それから、本書中の分析結果はあくまで2011年のJ1のデータを基にしたものであって、他年度に当てはまるとは限りませんし、J2やJ3に当てはまるとも限りません。今の遠藤を獲得しても勝ち点が117%にはなりません。


本書の紹介はこれで終わりです。以下、私が興味深いと思ったことをつらつらと書きつけておきます。

あなた(たち)がいれば勝ち点は129%になる

ホームチームは有利だ」とよく言われます。また、「日本では大してホームの利がない」とも言われます。どちらが本当なのでしょうか。

本書によると、2011年のJ1におけるホームチームの勝率は43.5%、アウェイチームの勝率は32.0%でした(引き分けは100%-43.5%-32.0%=24.5%です)。
検定の結果、この差は統計学的に意味のあるもの(p<0.05)とされています。つまり誤差ではないらしい、ということです。少なくとも2011年のJ1には「ホームの利」が本当に存在したようです。

では、勝ち点が実際にどれくらい変わるのか計算してみましょう。ホームゲームで得られる勝ち点は、1試合平均で43.5%×3+24.5%×1=1.55となります。同じように計算すると、アウェイゲームで得られる勝ち点は1試合平均1.205です。そして1.55を1.205で割ってみると1.28630……となり、勝ち点が約29%増えていることが分かります。


この数字はどれくらい大きなものなのでしょうか。
当時リーグ最高の選手だった遠藤保仁は、勝ち点への貢献度が、平均的な選手に比べて約17%高いとされています。つまりリーグ平均レベルの選手1人を放出して遠藤を獲得した時、残りの条件が同じならば勝ち点が17%増えるはずだ、ということです(この計算結果が本書のタイトルにもなっていますね)。
遠藤獲得の影響を、上で求めたホームゲームの影響と比べてみてください。いや、比べるまでもありませんね。17%と29%ですから。ホームの利は全盛期の遠藤より強く勝ち点に影響します。



いいですか皆さん。
著者も言っていますが、ホームチームリーグ最強の選手を獲得しているのと同じなのです。
それどころではないかもしれません。ただ優れた選手がいるだけではなく、その選手が「元の11人に加えて」フィールドに立っているようなものかもしれない。12人目のスーパープレイヤーがピッチに降り立っているのと同じ状態なのかもしれない。そんな気がしてきます。29%アップという数字は、それほど凄いものではないでしょうか。



皆さん。スタジアムに行きましょう。そして最強の選手、12人目の選手になってみませんか。たとえ1人の力は1/n(nはホームサポーターの数)でも、あなたが加わった分だけ12番目の選手が強くなるはずです。




なんか綺麗に終われそうなので、ここで一旦終わります。他にも色々と興味深い話がありましたが、続きは次回。


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