BUHIXの日記

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J2第40節(ツエーゲン金沢戦)の結果と感想

 

1-1で引き分けでした。 前半はよかったけど、後半はイマイチだったかな?という気がします。もうちょっと白山比咩神社にお賽銭をあげていればよかったのでしょうか……(ぉぃ)

 

「スペースはシュートを撃たない」vs「流動的な攻撃」

金沢は超ハイプレスで来るのかなと思っていましたが、それほどでもありませんでした。庄司が最終ラインまで降りた時、深追いしてくる選手はいません。よって岐阜は相手の2トップのプレスに対して数的優位に立ち、ボールを支配することに成功します。

 

先に点を取られはしたのですが、前半の途中から攻撃は上手く行っていたと思います。ポジションチェンジによって金沢の選手を引っ張り、隙を作り出すことに成功していました。具体的に言うとWGが中央に入る動き、1トップが中盤に落ちる動き、SBがオーバーラップやインナーラップする動き等々です。広い意味では、上述した庄司のボトムチェンジ(最終ラインに落ちる動き)も入ると思います。

特に左サイドの動きは活発で(いつも活発ですが)、古橋は何度も中央に入って相手のSBを引き寄せ、空いたサイドのスペースに福村がどんどん上がっていました。やはり福村がいるといないとでは大違いです。自分と古橋のどっちが裏に抜け出すのか、どっちが中に入るのか、という判断が素晴らしいですね。

 

図にするとこんな感じです。

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もちろんこれらは特別に珍しいプレーというわけではないし、今までの試合でも見られたものです。しかし金沢のようにマンマークを重視してくるチームに対しては、より意図的にそれを繰り返していたのだと思います。

 

一般論として「マンマークは相手のポジションチェンジに対処しやすい」と言われることもありますが、逆に言うと相手のポジションチェンジによって簡単に動かされてしまう守り方です。よって相手の意図通りに動かされ、スペースを作り出される危険があり、最終的にはマンマークはポジションチェンジに弱い」という傾向が出るのではないでしょうか。

 

マンマークとポジションチェンジ(ローテーション)の関係についてはこちらとかこちらが参考になります。※「攻守の4すくみ説」は2014W杯の後に流行っていた議論なので、今では古くなっているかもしれませんが……

 

金沢の柳下監督はマンマークを非常に重視する方です。先の記事でも触れたように「スペースはシュートを撃たない。シュートを撃つのは人」という言葉を残しています。これに大木監督がどう対抗しようと考えていたのかは分かりませんが、普段よりポジションチェンジ(ローテーション)を多用していたのではないかな、というのが私の印象です。

 

得点シーンでも素晴らしいローテーション

同点に追いついた場面でも右サイドで見事なローテーション・アタックを見せています。

先に図を貼っておくと、こんな感じです。黄色の矢印が人の動き、青色の矢印がパスを表します(ゴチャゴチャしていて、あまり上手い図ではないかもしれません)。

 

1. 中盤でのポジションチェンジから、フリーになった小野にパス
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2. CBを動かし、裏のスペースを突く。それによってCBをもう1枚動かす
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まず、永島が中盤の底まで下がってビルドアップに参加します。これによって金沢のボランチ太田を引きつけています。なお、この時点で小野は既に右サイドに流れています。

永島が下がったことで中盤のスペースが空くため、そこに大本が入ってきます。この動きには左SHの中美がついて来ます。中美が内に引っ張られたことで、右サイドに流れていた小野がフリーになりました。また庄司は左インサイドハーフに当たる位置に移動し、もう1人のボランチ大橋を引きつけています。

次いで、永島がフリーの小野にパスします。中美が大本について行ったため、小野には左SBの沼田が対応するしかありません。(ここまでが図1)

するとこれを見逃さず、パウロが右サイドの奥へと動きます。沼田の裏を突こうとするような形です。CBの作田がこれに引きつけられます。

そして小野が金沢の最終ラインの裏へとロングパスを出し、大本がこれに走り込みます。位置的にはCBかSBが対処すべきなのでしょうが、沼田が小野に、作田がパウロに引きつけられているところです。さらに両ボランチも永島と庄司に引きつけられています。というわけで、大本をマンマークしていた中美がそのままついて行くしかありません。

ところが中美はもう追いつけないと見たのか、途中でスピードダウンしてしまいました。残る1枚のCBである庄司(金沢)が慌てて大本に対処しようとしますが、間に合いません。大本にボールを収められるどころか、庄司(金沢)が動いたことで風間がフリーとなります。

最後は大本がゴール前のスペースへグラウンダーのクロスを入れ、風間がスライディングで合わせます。右SB石田は古橋から風間にスライドしようとしていますが、時既に遅し。(ここまでが図2)

 

岐阜は2度続けて相手のスペースを突き、一気にゴールを陥れた恰好です。その前の永島→小野の時も小野がスペースでフリーになっていましたから、これを含めると3連発ですね。確かに「スペースはシュートを撃たない」のですが、この得点シーンを見ていると「スペースにパスを通され続けたらそのうち誰かにシュートを撃たれてしまう」と実感します。別の言い方をすると「動かされてスペースを作られ続けたら、いつかは押し切られてしまう」ということなのでしょう。

 

前半はCBも頑張っていた

映像を見直してみたところ、前半は青木と阿部の出来もよかったと感じました。金沢の2トップに前向きでボールを持たれることがほとんどありませんでしたし、ロングボールを佐藤洸一と競り合っても負けていませんでした。

唯一、相手にしてやられたのは失点の場面です。青木は魔が差したようにボールウォッチャーになっており、佐藤の動きに気づけていません。もしかしたらニアでクロスを跳ね返すことを第一に考えて、佐藤は背後(ファー側)にいる味方に任せたのかもしれませんが……どうなんでしょう。

青木の背後にいたのは庄司と大本ですが、庄司もファー側に逃げていく佐藤を視界に捉えられていません。大本が佐藤へのクロスを競りに行こうとしたものの、間に合いませんでした。解説の興津大三さん曰く「石田のクロスが速かったので大本はジャンプするタイミングが掴めなかった」とのことです。

まあ、この場面だけ見ると「そんなにスペース無いのに佐藤にシュート撃たれてるじゃん。やっぱりシュートを撃つのは人なんだよ」という考え方も分かる気がしますね(笑)。


なおこの時、阿部は左サイドにいます。サイドに流れてきた杉浦を止めに行った後、石田に杉浦とのワンツーで抜け出され、クロスを上げられてしまいました。普通なら「CBが釣り出された」ということになるのでしょうが、今年の岐阜の試合ではCBがゴールから離れてプレーしている場面を割と見る気がします。

たぶん「危ないと思ったらCBはどんどん出て行って相手を止めろ。代わりに誰かがゴール前に戻ればいい」という約束事になっているのではないでしょうか。特に空中戦に強い陣容でもないので、待ち受けて跳ね返すよりもどんどん前に出てピンチの芽を摘みに行った方がいい、という考え方は分からなくもありません。過去の記事に「磐瀬は守備範囲が広いので大木サッカーのCBに向いているはずだ」と書いたのも、そのような理由からです。

 

後半はどうしたのか

冒頭にも書きましたが、後半の内容はあまり良くなかったと思います。現地で観ている時には「簡単にカウンターを受けてしまうなぁ」「簡単に縦パスを入れられてしまうなぁ」と感じていたのですが、映像を見直してもやはり似たような印象を受けました。

前半からそうでしたが、この試合ではファーストディフェンスをかわされることが多く、「すぐにボールを取り返す」ことが出来ませんでした。そういう意味ではあまり大木サッカーらしくない試合です。そして「パスで相手のプレスをかわす」という意味で、特に後半は金沢にめっちゃ「パスサッカー」されていました。

なぜそうなったのかは、よく分かりません。岐阜の選手が疲れてきたのに対して、金沢は早めに前線の選手を替えてきたのでプレス合戦で優位に立てたということかもしれませんが……それだけでは説明できないような気もします。柳下監督が「岐阜の選手は帰陣が早い」と褒めたように、そんなに疲れていたわけでもなかったと思います(大木監督も3人目の交代枠を使わなかったし)。順位も大方確定したので緊張感に欠けるところがあるのでしょうか、はてさて。

 

交代枠と言えば、最後に何か手を打ってみてもよかったと思います……とは言っても特に有効な策はなかったかもしれまん。

強いて言うなら、インサイドハーフのどちらかを山田に替えて4-4-2の形(両サイドに山田+古橋 or 薮内、FWに難波+古橋 or 薮内)にするくらいでしょうか。この日はセットプレーをほとんど金沢に跳ね返されていたので、FWを増やして山田がクロス入れても何も起こらないかもしれませんが……。

 

薮内を見た印象

最後に薮内のプレーを見て感じたことを書き留めておくと、大本と縦に並んでいることが多かったのは気になります。「WGだから外に張ろう」という考えがあったのかもしれませんが、後ろの選手と真っ直ぐ縦に並ぶのはあまりいいポジショニングではないと思います。

理由は2つあって、まず大本が縦にボールを運ぶコースが消えてしまうことです。それに大本が薮内にパスしたとしても、薮内は完全に後ろを向いて受けることになります。せっかくいいドリブルを持っていても、後ろ向きでボールを持ったらそれを発揮しにくくなってしまいます。これが2つ目の理由です。

上で福村に触れた時にも書きましたが、あるいは前節で磐瀬に触れた時にも書きましたが、「WGが外にいる時はSBが中に、WGが中にいる時はSBが外に」というポジショニングがやはりいいのではないでしょうか。

 

それから、ビックリしたんですけど薮内はCKを蹴っていましたね。キックの正確性を評価されているのでしょうか。もっと積極的にクロスやシュートを狙ってみてもいいかもしれません。

 

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