BUHIXの日記

サッカーやJリーグについて書いたり、読書や旅行について書いたり。

J2第37節(徳島ヴォルティス戦)の結果と感想2

 

 とりあえず、私が気づいた範囲で徳島の特徴を書いておきます。

 

マンマーク気味のプレス

 徳島の予想フォーメーションは3-4-2-1となっていました。しかし実際は渡と島屋の2トップに近く、杉本は中盤に下がることも多くありました。表記するなら3-5-2です。

 1トップ2シャドーだ、いや2トップだ、という数字の違いに意味があるのではありません。要するに岐阜に対してマンマーク気味に(最終ラインに対して同数で)プレスをかけようとしたら3-5-2の形になったのだと思います。図にするとこんな感じです。

f:id:buhix:20171019210903j:plain

 

 中盤の3人は岐阜も徳島も流動的に動きます。だからマークが固定されていたわけではありません。シシーニョのことは特に警戒していたようで、誰が付いても激しく当たってきました。

 

 2トップの左右もそれほど固定的なものではなかったと思います。また、2トップが常にCBをマークするわけではなく、SBにプレスをかけてくることもありました。岐阜がGKまでボールを下げた場合には、GKとCBの間のパスコースを遮断するようにポジションを取っていました。時にはGKにまでプレスをかけることすらありました(特に島屋)。敵ながら見事な運動量だったと思います。

 

前に出る守備

 「マンマーク気味のプレス」にも関連しますが、徳島の選手は守備時にどんどん前に出て来ました。自分がマークしている相手にパスが出たら、とにかく前に出てプレッシャーをかけます。セカンドボールが拾えそうだったら、とにかく前に出て拾います。その迷いの無さは際立っていました。

 当然、ただ闇雲に前に出ているわけではないと思います。後ろにいる味方の位置が分かっているから「自分が前に出てもカバーしてもらえるな」と判断することができるのでしょう。なぜ後ろにいる味方の位置が分かるのかと言えば、徳島の選手が賢いからというのはもちろんですが、監督がきちんとポジショニングを指導できているからでしょう。「こういう状況になったら味方はここにいる」という共通認識ができているのです(たぶん)。

 岐阜のサッカーは良くも悪くも「アイデア勝負」という感じなので、もうちょっと型にはめてみても……福岡戦の記事で同じこと書いたからやめとこ(笑)。

 

 ちなみに「前に出る」というのはCBも同じです。岐阜が前線へのロングパスを狙ってきたら、徳島のCBは積極的に前に出て潰しに来ました。このため、岐阜のCFや両WGがなかなか前を向かせてもらえませんでした。

 

5レーンを埋める

 これは雑誌や他ブログ様の受け売りになってしまいますが、徳島の選手たちは「5つのレーン」を埋めるようにポジショニングしていたようです。「レーン」とは、ボウリングのレーンとか言う時のあれですね。ここでは「ピッチを縦に分割した時の1単位」を指します。過去に何度か使ったフリーハンドの超適当な図を置いておきます。

f:id:buhix:20170526211631p:plain

(ハーフスペースというのは「外から2番目のレーン」を指しますが、今回この話は割愛)

 

 現代サッカーにおいては、このようにピッチを縦方向に5つに分けて考えるのがトレンドになっています。3でも4でも6でも7でもいいじゃないかと思われるかもしれませんが、まあ複雑すぎず単純すぎずという丁度いい数が5なのでしょう*1。これからさらにサッカーの戦術が複雑化していけば6レーンや7レーンで考えるようになるかもしれません。

 

 それはともかく、5つのレーンをすべて埋めるように選手を配置するとどんないいことがあるのでしょうか。端的に言うと、選手の位置が被りません。だから常にパスコースが作れます。昔は選手にパスコースを確保させるためによく「トライアングルを作れ」と言いましたが、最近はこれに加えて「1列前の選手と同じレーンにいないように」という言い方もあるようですね。

f:id:buhix:20171019214835j:plain

↑3人の選手が同じレーンに固まってしまった状態。

 

f:id:buhix:20171019214849j:plain

↑1人が隣のレーンに移ったことで、自然にトライアングルができた。

 

 徳島のパス回しが速いのはもちろん個々の技術が高いからでもあるでしょうが、このようにポジショニングがしっかりしているおかげでもあるのではないでしょうか。

 

 それに比べると岐阜の選手は「パスコースを探す」ことで時間をロスしているように見えます。選手たちが好調な時は即興でどんどんパスコースを作っていけますが、そうでない場合は停滞する恐れがあります。特にこの試合では激しいプレスをかけられたため、前線に雑に蹴り出すだけになってしまいました。

 

岐阜側の対策らしきもの

 相手のプレスに対するよくある解決策がボトムチェンジです。ボランチが最終ラインに落ちて、最終ラインの人数を増やすわけですね。岐阜も今シーズンの途中までは庄司がよくCBの間まで降りていました。

 この試合でも18分ごろから庄司が最終ライン付近に下がっています。それに合わせてシシーニョや小野も下がってボールを受けに来ました。すると少しボールが回り始め、岐阜はペースを取り戻しかけました。

 ただ、MF陣が後ろに下がると前線との間に距離ができてしまいます。これに合わせて前線ももう少し動き方を工夫してほしかったのですが、空いてしまった距離を上手く修正することはできませんでした。そのため、せっかく少しボールを持てるようになっても、前線へのロングパスを狙うだけの単調な攻撃で終わってしまいました。

 こういう時こそ0トップ(偽CF)をやればいいのではないでしょうか? 前線と中盤の距離が空いているのなら、CFも下がって受けに行けばよかったはずです。

 あるいは、こういう時こそ3バックにしてみればよかったのではないでしょうか。最終ラインに同数でプレスをかけられているなら、CBを増やしてみるという手はなかったのでしょうか(徳島レベルの相手にはすぐに対応されるかもしれないけど…)。大分戦でぶっつけ本番の3バックがあれだけやれたのだから、またやってみても良かったんじゃないかな、という気がします。

 

余談

 リカルド・ロドリゲス監督のコメントのうち、気になった部分を引用しておきます(強調したのは筆者)。 

今回の試合は非常に難しい試合だと認識していました。岐阜は非常にボールを持つことができる力のあるチーム。それからポゼッションできる相手で、非常に難しいと思っていました。

 

 おそらく通訳の過程でちょこっとニュアンスが変わったりしただけであって、深く考える必要はないのかもしれません。しかし、ここでは敢えて文字通りに解釈してみます。するとロドリゲス監督は、「ボールを持つこと」と「ポゼッション」は違う考えていることになります。

 そして、岐阜は「ボールを持つこと」は常にできているけれど「ポゼッション」は時々しかやらない(調子がいい時しかできない?)、と思われているようです。「非常にボールを持つことができる。それからポゼッションもできる」という言い回しはそのように読めると思います。皆さんはどう感じられたでしょうか。

 

※徳島の特徴についてはこちらの記事を参考にさせていただきました。

*1:元々は3分割で考える理論があって、そこに「ハーフスペース」の概念を加えたことで5分割になったのかもしれない。