BUHIXの日記

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【感想】「1対21」のサッカー原論

 現・名古屋グランパス監督の風間八宏氏の著書です。刊行は2010年ですが、風間氏の基本的な考えは変わっていないように見えます。

 

「個」とはどういう意味なのか

 風間氏の思想は要するに「選手は個を伸ばせ、指導者はそれを見抜く目を持て」ということに尽きると思います。では「個」とは具体的にどういう意味なのでしょう。

 ドリブルで何人も抜いたり、サイドから鋭くカットインしてシュートを決めたりすることでしょうか? もちろんそれらも含まれるとは思いますが、風間氏はもう少し違う意味で「個」という言葉を使っています。

 簡潔に言うと、氏の言う「個」とは

  1. 基礎技術が高い
  2. 自分の頭で考えられる

 

の2つを兼ね備えていることです。

 別に派手なプレーをすることとか、1人で突破してしまうようなこと「だけ」を指してはいないわけですね。「止める」「蹴る」等の基礎技術が一定水準以上あって、さらに「今どんなプレーをすべきなのか」を自分で考えることができれば、それが「個」に優れた選手なのです。このような主張は特に難解でもなく、至極まっとうなものだと思います。

 ちなみにタイトルにある「1対21」とは、「自分以外の21人を見てプレーする」という意味です。味方だけでなく敵までしっかり見てプレーしなさい、と本文中でも強調しています。それが可能になるためにもまずは「個」が出来上がっていなければいけません。完成していない1(個)は、他の21と向き合うことができません。それが「1対21」の真意だと思います。

 

 「個」と言うと、どうしても「1人で抜くこと」と解釈されがちです。もっとぶっちゃけると「要するに個ってドリブルでしょ?」と思っている人が多いと思います。そのような環境では風間氏の発言の真意が歪められやすく、ちと不幸ではないかな、という気がします。

 ただし「基礎技術の指導に重きを置きすぎだろ」という批判はごもっともだと思う。

 

ずっとブレていない

 以前にも書きましたが、私は監督としての風間氏の手腕にやや疑問を持っています。少なくともプロチームの監督としては色々とヘンな部分があると思います。守備練習をしないと聞いて、失礼ながら「このおっさんバカか?」と思ったこともあります。

 ただ、過去から今に至るまで考え方がブレていない点には尊敬の念も抱きました。風間氏が現在、日々のインタビューで語っているのと同じことが、7年前に出した本にも書いてあります。初めてプロチームの監督になった2012年以降、様々な批判が耳に届いてきただろうとは思いますが、「風間思想」は一切変化していないようです。

 悪く言えば柔軟性がないということであり、監督を数年間やっても成長していないということになるのかもしれません。しかし、私は風間氏の頑固さに少しの呆れを覚えると同時に、何だかとても眩しいものを見るような思いもするのです。頭髪のことじゃないよ! 

「 1対21 」 のサッカー原論 「 個人力 」 を引き出す発想と技術

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