BUHIXの日記

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「チームスタイル指標」は役に立つのか

 過去に何度もお世話になってきたフットボールラボが、7月から「チームスタイル指標」なるものを公開しています。チームのプレースタイルを可視化(定量化)した指標だそうですが、果たしてどのようなものなのでしょうか。

 

そもそもどんな指標なのか

 まず攻撃をいくつかのパターンに分類します。具体的に言うと、

  1. セットプレー
  2. 左サイド攻撃
  3. 中央攻撃
  4. 右サイド攻撃
  5. ショートカウンター
  6. ロングカウンター
  7. 敵陣ポゼッション
  8. 自陣ポゼッション

 

 の8つです。最初にセットプレーとそれ以外で大きく分け、その後にセットプレー以外の攻撃を各分類に振り分けているようです。細かい定義については冒頭のリンクを参照してください。おそらく2〜4と5〜8は独立した分類(異なる視点による分類)であって、重複します。

例:「右サイド攻撃」で且つ「敵陣ポゼッション」、「中央攻撃」で且つ「ロングカウンター」etc

 

 詳しい計算式は不明ですが、各攻撃パターンの「試行回数」と「シュートにたどり着いた割合」を基に何らかの数値を出し、それを偏差値化したものが「チームスタイル指標」です。

 

「試合を見れば分かること」しか分からない

 チームスタイル指標を見て、面白いと思ったか(何かを知る感動があったか)、どうなのか。率直に言うと面白くありませんでした。さんざんフットボールラボを参考にしてきた私が言うのも気が引けるのですが、現時点ではあまり役に立つデータとは思えません。

 そう感じた理由は、データが示していることが「普通に試合を見れば分かること」に過ぎなかったからです。

 例えばこれが今年の岐阜のチームスタイル指標ですが、少なくとも岐阜サポーターにとって目新しいことはありません。敵陣でのポゼッションから生まれるシュートが多いこと、サイドアタックから生まれるシュートが多いこと、これらは岐阜の試合を普通に見ていれば分かります。

 この数字を見て「そうか、今まで気づかなかったけど、大木監督はポゼッションサッカーがやりたかったんだ!」と感動する人がいるのでしょうか。偏差値という形で客観的に他チームと比較できるようになったことは、新しいと言えば新しいのですが…。

 

 強いて言うなら、同じポゼッションサッカーと言われる名古屋と比較してもサイドをよく使っているんだな(というか名古屋が中央にこだわりすぎ?)というのが気づきです。

 

シュート率で良し悪しをはかれるのか

 計算の根拠となっている「シュート率」はそもそも役に立つ指標なのでしょうか。

 私はどちらかというと「シュートで終われたこと」を評価するタイプの観客ですし、負け試合でもシュートが多ければあまり悔しくないくらいなのですが、それでも「シュート率」で攻撃の良し悪しをはかれるかは疑問に思います。

 完全に相手の守備陣を崩してフリーで放ったシュートも、苦し紛れに放った「入る可能性がない」シュートも、同じ1本としてカウントされてしまうからです。

 まあ、その「崩した」「フリーだ」「入る可能性がある or ない」ということが最終的には主観に過ぎないので、定量的に扱うためには「どのシュートも同じ1本」としなければならないのかもしれませんが。

 

こうすればいいかもしれない、と思うこと

 チームスタイル指標に限らず、データとは単独ではなかなか役に立たないものです。なので、フットボールラボさんには是非とも他のデータとの相関を考察していただきたいなと思います。

 例えばJ2においてロングカウンター指標と勝ち点との相関が強いなら、「そうか、やはりJ2ではしっかりと守ってカウンターするチームが上に来るんだな」ということが分かります。

 もちろんこれはあくまで仮の例で、実際にロングカウンターと勝ち点に相関があるのかは分かりません。近年はJ2にハイプレス志向のチームが増えているようなので、もしかしたらショートカウンターとの相関が強いかもしれません。

 

岐阜よりロングカウンターが下手な?チームたち

 最後にちょっと捻くれた指標の使い方をしてみましょう。どうせ「岐阜のパスサッカー凄い!」という記事は誰かが書いてるだろうし。

 岐阜のチームスタイル指標の中で最も低いのは「ロングカウンター」です。まあ、これも試合を見ていれば分かることです。岐阜がロングカウンターを決める場面はほとんどありません。きっとリーグでもダントツの最下位なのでしょう。

 ……と思ったら、偏差値44と意外に?高い。まだ下に5チームもありました。さあどこでしょう?

 

 

 

 

 

 正解は、上から愛媛、群馬、長崎、岡山、そしてドン尻に名古屋です。

 名古屋は頑固に足元で繋ぐサッカーをしているからちょっと例外的ですが、他の4チームはどうしたことでしょうか。

 実は、この4チームはロングカウンターに限らずすべてのチームスタイル指標が低く出ています。何も考えずにただ指標だけを見たら、はっきり言って「攻撃を放棄した勝つ気のないチーム」のように思えてしまいます。

 しかし、そんなことを言ったら愛媛や長崎や岡山のサポーターに怒られます。勝つ気がないどころか、いずれも岐阜より同等か上の順位につけているチームばかりだからです。群馬は? 長崎に至っては自動昇格圏にいます。

 それに、彼らがカウンターを苦手にしているチームとは思えません。少なくとも岐阜よりもロングカウンターが下手ということはないはずです。

 彼らには彼らの戦い方があり、そのチームなりの点の取り方を確立しているのです。だからこそ勝ち点を重ねられているに違いありません。群馬は? ただ、その点の取り方では「試行回数」と「シュート率」が伸びないから、チームスタイル指標が高くならないというだけの話なのでしょう。

 何が言いたいかというと、チームスタイル指標はあくまで参考でしかなく、過信するのは禁物だということです。

※この中には出てきませんでしたが、横浜FC、山形、熊本もほぼすべてのチームスタイル指標が悪くなっています。しかし横浜FCや山形が弱いとは言えないでしょう。熊本は?

※ていうか偏差値(相対評価)なんだから、どっかのチームが高くなれば必ず低いチームも出る仕組みなんだよね。それを忘れてグダグダと無駄なことを書いてしまったかも。

 

 福岡のチームスタイル指標についても書こうかなと思ったのですが、長くなったのでこの辺で終わります。

 興味がある方は以下の2つのリンクを覗いてみてください。ページの下の方にある「攻撃関与選手」を見ると、駒野とウェリントンの偉大さが分かると思います。これもたぶん、福岡サポさんにとっては「試合を見ていれば分かること」なのですが。

 次節は(次節も)ウェリントン抜きの戦いになりますが、はてさて。

アビスパ福岡 2017チームスタイル[攻撃セットプレー] | Football LAB ~サッカーをデータで楽しむ~

アビスパ福岡 2017チームスタイル[右サイド攻撃] | Football LAB ~サッカーをデータで楽しむ~

 

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